天然水晶と合成水晶とガラスの見分け方

石は見た目が似ているものがたくさんありますので、見間違えたり、故意に何かに似せている場合があります。
水晶とガラスの違い、間違って広まった名前、途中からすり替わってしまったものなど色々あります。

ガラスと水晶について

どちらも透明で無色なために、ぱっと見では判別を誤るときもあります。 そもそも、ガラスも水晶も二酸化珪素。 同じもので出来ているのです。 では、何が違うのか?

結晶構造が違います。 水晶は結晶していますが、ガラスは結晶していません。

水晶は規則正しく原子が配列している為に、強度があります。 つまり、原子が隣り合う原子と手を繋ぎ合っているで結束が固いのです。 しかし、ガラスは原子配列がバラバラで並ぶことなく原子が散らばっています。 手はたまにしか繋いでいませんので、結束は弱く水晶より割れやすいです。 水晶を砕いて固めた練り水晶も、原子はバラバラで結束してませんので水晶の特性はなく、ただのガラスです。

扱い慣れていれば、触った感じで水晶が冷たくてガラスが暖かい、ガラス中の気泡、ガラス表面の傷、見た目のツヤ、持ったときの重さなどでだいたいはわかりますが、確実ではありません。

ガラスと水晶の見分け方について

よく聞く簡単な見分け方法で、髪の毛を水晶とガラスの下で見ると水晶だと髪の毛が二本に、ガラスだと一本に見えると言います。 これは、複屈折性の有無で、水晶の場合は光が水晶の中に入るとニ方向に分かれて進むために、下にある髪の毛が二重に見えます。これをダブリングといいます。 ガラスの場合は単屈折のため、一重にしか見えません。 しかしこれも確実ではなく、水晶結晶の成長方向と垂直に光軸があり、その方向からだとダブリングが見えないのです。(光学的異常)

では、何で見分ければいいかと言いますと・・・ 偏光板が一番確実です。 偏光板とはある種の可視光だけを透過させる板で、身近なものではサングラスがそうです。

この板を二枚並行に並べて間に検査石を置き、ハンバーガー状態にします。 それを上から見て、上の偏光板をその位置のままで回転させていくと、板が徐々に明るくなったり暗くなったりするので、一番暗い位置で止めます。 それを保持したまま、検査石を回して観察します。 水晶の場合:丸玉なら黒い線が通り過ぎる、光軸の方向で虹の玉のような干渉像が見られる。 丸玉以外なら、検査石を一回転させているうちに暗くなったり明るくなったりを4回づつ繰り返す ガラスの場合;丸玉なら黒い十字架がいつでも見える。丸玉以外なら、一階転させてもずっと明るいまま。

これで、判別が出来ます。 宝石検査用の偏光器を使うのが一番検査しやすいですが、3万くらいはしますので、偏光板やサングラスのレンズを外して検査してみるのが、一番簡単です。(画像がないとわかり辛いと思いますので、画像が用意できたら入れたいと思います)

あと、ガラスには蛍光性があります。 UVライト(ブラックライト)を当てると水晶は蛍光性がないので青い光を通したり反射したりするだけで、水晶自体は発光しません。 しかし、ガラスはUVライトを当てると全体がボヤーっと水色に発光します。 ガラスの種類によっては、黄色、赤など強烈に発光するものもあります。 暗いところで、ガラスにUVライトを当ててみてください。 これが、一番手軽な方法です。 ただ、珪素ガラスだけは発光しない場合がありますので、絶対ではないです。

天然水晶と合成水晶について

合成石とは天然石とまったく同じ化学組成のものを言います。 ですので、天然水晶も合成水晶も二酸化珪素です。

ただし、天然には天然の証、合成には合成の証が見られることがあります。 天然の証は他の鉱物が含まれていることです。 合成でわざわざ他の鉱物を入れて作る必要はなく、ならべく純粋な水晶を作りますので、他の鉱物が入っているものは天然でしょう。

合成の証として代表的なものはパン屑状の内包物です。 天然水晶の中に含まれているものは天然の鉱物ですので、結晶しています。 合成石の中のパン屑状のものは結晶ではないので形が不定形、光を反射しません。 これは合成成長中に中に混入した物質です。 ルーペ、または顕微鏡で観察しなければわからないものですが重要な手がかりとなります。

あとは、双晶を観察することです。 双晶とは複数の結晶が重なり合っていることです。 天然の水晶は単独の結晶に見えて、実は複数の結晶が重なり合ってひとつの結晶を作っていることが殆どです。 双晶面、結晶先端の△成長模様、顕微鏡下での双晶壁が見られる場合は、まず天然です。

なぜなら、合成水晶は双晶で作られないからです。 種子板から一つの結晶だけを成長させます。 これは、合成水晶が元々は時計に使うために作られていたからです。 単独の結晶のほうが振動を正しく伝えますので、双晶はまず作られません。 ですので、双晶が見られた場合は天然の可能性が高いです。