水琴窟とよく似た音が楽しめる水琴鈴
水琴鈴はオルゴールのようにやさしい音色が特徴で、オルゴール鈴とも呼ばれます。名前の由来は日本庭園などにある装飾の一つ、水琴窟から来ています。水琴窟は手水鉢近くの地中の空洞に水滴を落とし、その音を空洞の内部に反響させ、手水鉢の排水を処理する仕組みとなっています。水滴が落下して反響する音が、まるで琴を演奏しているようなので水琴窟と呼びますが、水琴鈴はこのきれいな音色を再現し、美しくやさしい音を奏でます。きれいな音が出る仕組みも、水琴窟のように反響音を利用しています。
鈴は昔から神社の本殿にあるさい銭箱の前に置かれており、手を合わせて参拝するときに、大きな鈴を揺らすのが習慣になっています。神社で鈴が使われているのは、その場所を祓い清め、神様をお招きするための呼び出しに使われたと言われます。鈴の音は美しく澄んだ音色なので、昔から神様の御霊を引き寄せる力があると信じられてきました。今でも鈴をお守りなどに付けて持ち歩くと、神様のご加護を受け、幸せになるとされています。中でも水琴鈴は揺らすとシャランと音が響き、音色がとても心地よく、場の空気を和ませてくれます。
水琴鈴には邪気を祓い清め、パワーストーンのような作用があるのが特徴です。忙しい職場でフロア全体にピリピリした緊張感が漂っているときに、バッグなどの持ち物に水琴鈴を付けておくと効果的です。やさしい音色を耳にすると、不思議とフロアの空気が穏やかになり、周囲も自分自身も気分がリフレッシュすることが分かります。バッグだけでなく財布などにも利用できます。
水琴鈴と他の鈴との構造の違い
鈴は音を出す道具の一種で、土器や陶器、金属などを使用し、中が空洞になっている器の中に、小さな玉が入っています。根付けひもやチェーンなどを付けて、全体を振り動かすと音が出る仕組みです。鐘も似た仕組みですが、鐘の場合は中に付属している撞木はお寺で除夜の鐘を撞くことができるよう、人が触れるようになっています。また、鈴とは異なり、鐘の外側の器は設置された建造物とつながり、つり下げられています。一方、鈴の中に入っている玉は器に包まれており、人が触ることはできませんし、鈴の器は建造物などにつなげて設置するものでもありません。
水琴鈴は鈴の一種ですが、一般的な鈴にはないやさしく澄んだ柔らかい音色、余韻が印象的です。普通の鈴の音色はリンリン、またはチャリンチャリンですが、水琴鈴の音色はシャランシャランとなります。たくさんつり下げられた風鈴が一斉に奏でるような音がしますし、しかもその音色は柔らかく落ち着きます。これは一般的な鈴とは音が出る仕組みや構造に違いがあるためです。
普通の鈴はひょうたん型の穴が開いていますが、それがありません。その代わり、鈴の内側に溝がたくさん彫られています。鈴を揺らすと、小さな玉がその溝に当たり、美しくきれいな音が出る仕組みです。使われている材料は真ちゅうなどの金属で普通の鈴と変わりませんが、仕組みや構造が違うために、特徴的な音色を出すことができます。そして外側の器の形が球体のもの、勾玉型のもの、ハート型などの違いにより、音色の違いを楽しむことができます。
水琴鈴の形状ごとの仕組みや種類
水琴鈴の形状で一番多いのは球体の丸型です。左右対称のきれいな球体になっていることで、なめらかな音色の余韻が楽しめます。メーカーによっては、それ以外の形も取り扱っています。形状が異なっても基本的な仕組みは同様です。本体の中が空洞になっており、小さな金属球が一つ入っています。木琴で鍵盤をたたくように金属球が溝を転げ回り、空洞の中の反響音が音色の余韻になります。そのためシャランと後を引くような音響効果が得られるのです。
球体に比べると、しずく型や勾玉は空洞の形状が一様ではないので、音色も変化します。特に勾玉は不思議な形状をしています。もともとは古代から装身具として身に付けるもので、上部が太陽の丸い形、下部が月の三日月の形を表しているとされます。太陽と月がつながる形状になっているのは、古代の人々が天空の太陽と月を崇拝していたことに由来しています。また、邪気や邪霊など災いから身を守るお守りとしていたため、上部に祖先とのつながりを表す穴が開いています。一方、水琴鈴は反響する音色を楽しむ仕組みや構造が大切であるため、水琴鈴に使用する勾玉型には穴を開けていません。
ただ、古来お守りとして使われた勾玉のデザインは、神秘的な音色を奏でる水琴鈴にぴったりです。水琴鈴は形状による種類の他、使用する金属の違い、色の違いで選ぶことができます。さらに光沢のあるタイプや、立体的な装飾効果のあるちぢみ模様などもあります。ゴールドやシルバー、パステルカラーなどファッションに合わせていろいろと選べるので、キーホルダーやお守りだけでなく、アクセサリーとして楽しむことも可能です。