水晶結晶の形について

水晶の結晶の形状には、長短の特徴があり、理由としては下記をあげられます。
短い結晶になる理由:高温(ベータクォーツ)、不純物(例:アメシスト結晶は短い)
長い結晶になる理由:低温(例:レーザー水晶)

温度、不純物などについて

温度について
一般に水晶が生成される時に高温下だと側面が短い水晶生成され、低温下だと長い水晶が形成されます。
◆高温型(β)と低温型(α)
普段よく目にする六角柱に三角錘面の先端を持つ水晶は、573℃以下の環境で形成された低温水晶(アルファクォーツ)です。
また、573~867℃の高温下では側面が短いかまたは無く両先端に三角錘面を持った水晶が形成されます。これを高温水晶(ベータクォーツ)と言います。
高温水晶と低温水晶では結晶構造も異なり、低温水晶を573℃以上の高温下に置くと形はそのままで、高温水晶結晶構造へと変化します。

不純物について
アメシストやローズクォーツなどの結晶が短い場合が多いのは、不純物を含むと結晶は長く成長しないためです。
よって水晶の形成は高温なら必ず短いというわけではないですし、実際ロシアの側面を持たないソロバン型の水晶や ハーキマー水晶は低温下で形成されていますが内包物の影響で短い結晶形です。

ひずみの開放について
クラックは水晶が圧力を受けて生じたものですので、圧力がなくなった状態では元の形に戻ろうとします。 これにより、クラックが消えたように見えることがあるようです。

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貫入双晶、右水晶・左水晶ついて

貫入双晶について
元々ある結晶を巻き込んで新しい結晶が成長した水晶で、突き刺さってみえることから貫入という言われ方をしています。十字石の双晶も貫入によるものです。
実際に中に結晶がある場合と負晶(ネガティブクリスタル)という、中は空洞になっている結晶の場合があります。
負晶の場合は水晶が生成される途中にガスで満たされた空洞ができ、その空洞中にも結晶の規則性に従って成長した為に逆型に結晶化したと考えられています。
また、特殊なものではドフィーネ式双晶やブラジル式双晶というものがあり、一つの結晶に見えるけど実は二つの水晶が貫入して成長した双晶です。

右水晶・左水晶について
錘面と側面の間の右側に小さい面があると右水晶、左にあると左水晶です。
鉱物学的なスパイラルに基づいて考えると、右水晶は左スパイラル、左水晶は右スパイラルと逆です。つむじ、または利き手のようなものと考えてください。
右水晶同士、または左水晶同士が貫入したものをドフィーネ双晶、右水晶と左水晶が双晶したものをブラジル式双晶と呼びます。特にブラジル式双晶は珍しいです。

隣り合う結晶面の角度
鉱物は、互いに接する二つの結晶面の角度が決まっています。
水晶の場合、柱面と柱面の角度は120度、錐面と錐面の角度は133度44分ですので、分度器で面の角度を測ると天然の結晶形が磨かれたものかがわかります。


その他

573℃~867℃で形成されると高温水晶。では、それ以上では?
867度以上ではトリジマイト、1470度以上ではクリストバライトという同じ二酸化珪素でも結晶構造が異なる鉱物となってしまいます(多形または同質異像)。
クリストバライトはトリジマライト→β水晶→α水晶が形成され、それぞれ温度が下がると安定する鉱物へと構造を変えて行きます(移転)。
クリストバライトはスノーフレーク・オブシディアンに含まれるスノーフレークの部分です。
クリストバライトとトリジマイトは高圧高温に耐えるために工業用として合成され、高圧線のガイシや磁器、半導体などに使われています。

ブラジル式双晶とドフィーネ式双晶
2つの水晶が貫入してひとつの結晶にみえるという点では同じですが、ブラジル式双晶では右水晶と左水晶が貫入したもので、ドフィーネ式双晶は右同士、または左同士の水晶が貫入したものである。