長石について

長石(フェルドスパー)族の中で青いイリデッセンス効果を示すものについて

長石について

長石(feldspar)は地殻の約6割を占める地球上でもっとも存在量が多い鉱物です。
ナトリウム、カリウム、カルシウムの成分比により呼び方が変わります。
ナトリウムを多く含む曹長石(アルバイト)を中心とし、カリウムを多く含む正長石(オーソクレース)までの固溶体をアルカリ長石グループ、カルシウム多く含む(アノーサイト)までの固溶体を斜長石(プラシオクレース)グループと言います。

*曹はソーダつまりナトリウムのこと。
灰はカルシウムのこと。
NaとCaの成分比が灰長石はCaが9割以上でNaは1割以下、曹長石はNaが9割以上でCaが1割以下。
曹灰長石はカルシウム優勢でナトリウムを含み(Ca3割~5割、Na7割~5割)、灰曹長石はナトリウム優勢でカルシウムを含む(Na9割~7割、Ca3割~1割)長石だという意味です。

【アルカリ長石グループ】
(K成分高いNa低い⇒K低いNa高い順)
正長石(オーソクレース)⇒氷長石(アデュラリア)⇒玻璃長石(サニディン)⇒微斜長石(アノーソクレース)

【斜長石グループ】
曹長石(アルバイト) Na 100~90% Ca 10~0%
灰曹長石(オリゴクレース) Na 90~70% Ca 30~10%
中性長石(アンデシン) Na 70~50% Ca 50~30%
曹灰長石(ラブラドライト) Na 50~30% Ca 70~50%
亜灰長石(ボートナイト) Na 30~10% Ca 70~90%
灰長石(アノーサイト) Na 10~0%  Ca 90~100%

長石の中で白い地色に青いイリデッセンス(多重反射と干渉により特定のスペクトルが浮かぶ効果)を示すものは、ブルームーンストーンやホワイトラブラドライトだと思われてきました。
しかし、タンザニア産の青いアデュラレッセンスを示す石を成分分析したところ、ラブラドライトとは成分が多少異なったため、ギリシア語の鳩の意味から「ペリステライト」と名付けられました。
業者間では今でも「ブルームーンストーン」の名で呼ばれていますし、ホワイトラブラドライトとも混同されるため とても紛らわしくなってしまっています。 比重、屈折率などに若干差があるものの判別しづらく、一番確実なのはX線による化学組成分析です。

この3つは長石グループでも分類が異なります。
ムーンストーンがアルカリ長石系列、玻璃長石(サニディン)の中でシラーを示すもの。KalSi3O8
ペリステライトが斜長石(プラジオクレース)系列の中でもかなり曹長石(アルバイト)に近く若干、灰曹長石を含む。NaAlSi3O8
ラブラドライトが斜長石系列の灰長石(アノーサイト)の中でイリデッセンスを示すもの。CaAl2Si2O8
確実ではないですが、見た目的な判断ではペリステライトが無色透明~白地に淡い水色の効果。ペリステリズム。ムーンストーンが白濁気味の白地に淡い白~水色の効果。 シラーまたはシーン。ホワイトラブラドライトが無色透明~白地に強い青の効果(オレンジや緑を示すものはレインボー・ムーンストーンと呼ばれる)。ラブラドレッセンス。

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青いイリデッセンスの理由

光の分散と干渉
青いアデュラレッセンスを示す長石は異なった長石が薄く層状に重なり合うラメラ互層という組織になっています。
光が青く見えるのは空が青く見えるのと同じで、光の波長より小さな粒子による散乱であるレイリー散乱が起こるためです。

長石における光の分散:各層の長石の屈折率が異なるためにそこを通る光がスペクトルに分散され強められたり弱められたりします。
長石における光の干渉:光が長石を通るとき一部は透過し一部は反射します。透過した光も次の層を通る時に一部反射します。 この多重反射により光の波長が相乗されたり減産されたりするために特定の色が強められたりします。

ペリステライトはアルバイトとオリゴクレースのラメラ互層。顕微鏡下で針状インクルージョンや双璧面が見られることも。
ラブラドライトはアンデシンとカルシックラブラドライトのラメラ互層。顕微鏡下で針状インクルージョンや双璧面が見られることも。
ムーンストーンは曹長石(アルバイト)と正長石(オーソクレース)のラメラ互層。顕微鏡下でムカデ状模様が見られる。
ここからも分かるように、ペリステライトとラブラドライトの判別が見た目では難しいです。
可能性的には、イリデッセンスが水色で淡い感じだとペリステライト。 濃い青や黄色~緑~橙色など青い外が出ているとラブラドライトな場合が多いです。