アメジストについて

美しい紫が古くから愛され、2月の誕生石としても人気がある水晶です。
ギリシア神話ではアルテミスに仕えるアメジストという名前の美しい女官が姿を変えて紫水晶になったと言われています。

アメジストのストーリー

この魅力的な紫色は、微量に含まれた鉄が天然放射線の影響を受けたことに因るものです。 放射線の影響で結晶格子が抜け落ちることによる着色中心(カラーセンター)と鉄原子と酸素原子間の電子のやりとりである電荷移動により紫色が出るのです。

アメジストが属する石英は酸化珪素(SiO2)からできており、単結晶だと水晶、微細な結晶の集合体である多結晶で半透明だとカルセドニー(玉髄)、 同じく多結晶でも不透明だとジャスパー(碧玉)です。
石英ではないですが同じ酸化珪素で、急激に固まったためにすべてが結晶していなく結晶構造がバラバラなものがガラス、 低温で水分を含みゆっくり固まったために原子配列が規則正しくない非晶質のものがオパール(蛋白石)です。

酸化珪素はとても安定した状態ですが、近くに存在していたウランなどの放射性物質が永い時間を掛けて影響を与えたために結晶格子が抜け落ちる場合があります。
この状態を格子欠陥といい、それによりエネルギーとして光の吸収が変わる為に色が変わって見えます。
放射線により酸素原子の電子が飛ばされ、その電子を不純物として存在していた3価の鉄イオンが受け取り4価の鉄イオンになります。
この電子の受け渡しを電荷移動と言います。
4価の鉄イオンは光のスペクトルの黄色を吸収するために、アメジストは紫に見えます。 4価の鉄イオンは不安定ですが珪酸の四基ユニットと形が似ている為に、抜け落ちた結晶格子のところに準安定として収まります。
しかし、結局は無理やりはめ込まれた 似て非なるものなので、ずっとその状態は保てないのです。
紫外線など強い光のエネルギーで、4価の鉄イオンの電子が離れてしまうのです。これにより褪色が起こります。
ですので、アメジストに長時間による紫外線などの強い光を当てると色が薄くなってしまいます。
再び放射線を浴びる事により、4価の鉄イオンになるので紫が戻ります。この特性を利用して、人為的に放射線処理を施したりもします。
人為的な放射線と自然の放射線は区別が付きませんので、アメジストの色が自然のものか人為的なものかは基本的に区別が付きません。
原石の場合はあまりないとは言われていますが、ルースやビーズには放射線処理のアメジストが紛れている事は想像するに容易いと思います。

強い熱に影響を受けると、4価の鉄は電子が移動していまい3価になります。3価の鉄は私達の目に黄色に映りますので、これがシトリンというわけです。 これも、人為的に熱を加えることでアメジストをシトリンにすることが可能です。
しかし、人為的に熱を加えた場合はクラックや短時間で熱を加えた証拠などが残りますので判別できます。 それに出回っている熱処理されたシトリンの色は、根元が白く先端がオレンジと分かりやすいものが多いです。

アメジスト結晶は短いものが多い理由として、不純物元素が結晶成長の妨げになっているからと言われています。

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アメジストの産地の特徴

アメジストは日本を含め世界各地で採れますが、産地による特色が強く出るのも面白いところです。
一般的なアメジストのイメージである短い結晶はブラジル産。
小さく密集した細かい結晶で濃い紫が多いのはウルグアイ産。
赤いレピドクロサイト(燐鉄鉱)やゲーサイト(針鉄鉱)の細い結晶が入っていたり色帯など多いのがインド産。
一部がスモーキークォーツ(煙水晶)やシトリン(黄水晶)になっている「アメトリン」を唯一産出するのがボリビア。
カクタス(サボテン)型や赤が強いアメジストやカラーチェンジなど変り種を多く産出するのがアフリカ一帯。
その他メキシコのフラワーアメジストやベラクルス産の細長く先端の色が濃いもの、カナダのレッドアメジスト、ブラジル・モンテズーマのグリーン・ アメジストなど挙げたらキリがないほど魅力的なアメジストはたくさんありますし、ここに挙げた産地のアメシストでも異なった表情を色々見せてくれます。
また、母岩の上、根元の瑪瑙やカルセドニー(玉髄)の縞部分にも産地や個体差が出ますので観察してみるのも面白いと思います。

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アメジストカペーラについて

産地:ブラジル、リオ・グランデ・ド・スル州、アメチスタ・ド・スル
火山活動により岩石の中にできたアメジストの晶洞を掘り起こして、内部のアメジストが美しく見えるように割ったのがアメジストカペーラです。
カペーラとはチャペル(教会)のことで、細長い全形から祈りを込めてカペーラと呼ばれるようになりました。

びっしりと内部に敷き詰められたアメジストの結晶のひとつひとつが美しく、無数に並ぶ様はとても見応えがあります。

アメジストの紫は特に王族に好まれカリスマ性を高めたと言われます。また、魔除けとしても歴史が古く、聖職者が見につけていたと言われています。
近年は幸福や財運を呼び込むとして、家やお店、会社などに飾られることも多くなりました。その存在感と佇まいは、自然の荘厳さと美しさと共に、良い風を運んで来てくれるでしょう。


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